念願のマイホーム。
こんな間取りにしたい、こんな設備を付けよう。
外観はこんな風にして、外構はこのように仕上げて貰って・・・
膨らむイメージを予算と話し合いながら形にしていくのが、マイホーム計画の楽しみでしょう。
しかし、多くの方々が「今の自分達にとっての使い易さ」であったり、「これから十数年間の使い易さ」が基本になっており、なかなか何十年も先の事を考えた計画は出来ないものです。
我が家でも、暮らし始めて早々に、いくつかの失敗点に気付いてしまいました。
頭で考えていたより、実際使ってみると不便だと気付かされることは多いものです。
「こんな筈ではなかった・・・」
今回は、「誰もが皆、いつか身体は変化する」ことを意識しなければならない、と感じた状況をご紹介します。
査定の為、とあるお宅に伺わせていただいた時の話しです。
事前に法務局にて取得した登記簿を確認すると、築後十年を超えた(築後二十五年経過していない)鉄筋コンクリート造でしたので、建物の評価もある程度見込める中古住宅と想定しておりました。
しかし、室内を確認していくと、2階にて雨漏りの発生による著しい室内損傷が見受けられました。その発生原因を確認すると、「こうなることが分かっていれば、これを採用しなければよかったのに・・・」と思ってしまったのです。
それが、屋上庭園(屋上緑化)です。
以前、同じような陸屋根のお宅に伺ったことがありますが、そのお宅では、屋上に金属製のテーブルと椅子が置かれていました。
そのお宅は高台に位置する立地でしたので、街の灯り(夜景)を楽しんだり、夏祭りの花火を屋上でのんびり見物出来るとのことで、こだわった設備にはしなかったものの、リフレッシュの場として屋上にテーブルと椅子だけは置いたと話されていました。
固定式でもないので、邪魔になれば簡単に退かすことが出来るとの事でした。
簡単に対応できることは、非常に重要だと思います。
屋上庭園には土を運び入れますので、簡単にその利用方法を変えることが出来ません。
維持管理出来ているうちは素敵な空間ですが、管理が行き届かなくなると問題が発生します。
このお宅は、当初は芝を植えた庭園にされていたそうです。
芝刈り機も所有されていて、定期的に手入れされていたとおっしゃっておりました。
しかし、ご主人が体調を崩されてからは、手入れがおこなえなくなり、そして屋上が荒れ始めてしまったそうです。
確認したところ排水溝に土(泥)が溜まってしまったことが原因ではないかと考えられましたが、雨水が屋上に溜まってしまい、全体的にプールのような状態になっておりました。
既に屋上庭園(屋上緑化)と呼べる状態ではなくなり、芝に代わり雑草が生い茂っていました。
雨漏りの原因は、屋上に溜まった雨水でした。
階下(2階)の天井や壁、床だけでなく、収納扉も水害で壊れていました。
将来、自分がどのような健康状態でいられるのか?
誰にも先の先の未来を予測する事は不可能です。
そして、考えられるリスクを想定し過ぎると、予算も膨らみ現実離れしていきます。
「これは必要なのか?」
「必要でないのか?」
念願のマイホームだから、夫婦だけの思いを形にしたい。
大切な事とは思いますが、先の先を考えた住宅設計には、身近な良きアドバイザー、「ご両親」の意見(失敗談、今の不便さ)も参考にすると、将来「良かった」と思える住宅計画が出来るかもしれません。
今回は、将来訪れるご自身たちの体調の変化を意識した住宅設計に関してお話ししました。